柴田保全会とは
この記事を御覧いただき、ありがとうございます。私は栃木県出身、都内在住の大学生です。都会の喧騒にも馴染んできた一方で、広く澄み渡る地元の青空を思い出しては、しんみりした気持ちが込み上げる日々を送っています。そのような思いを抱えた読者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
柴田保全会は、栃木県佐野市多田地区で耕作放棄地を管理している団体です。土地の活用例として、菜の花畑を作ることで、近隣にある「賀茂別雷神社」の参拝客の目を楽しませたり、じゃがいもを植えて収穫し、市内の子ども食堂に寄付されたりしています。
今回の記事では、そのような活動をされている柴田保全会で里芋を収穫してきた私のレポートをお届けします。
ヘビにカエル、ドローンも登場!?
ほくほく里芋収穫体験
朝靄が遠くに漂い、ひんやりとした空気が肌を包む10月10日。案内していただいたのは、前日の雨で土がもったりとしている畑でした。
今回収穫するという里芋は、この畑で栽培されていました。葉がうんと大きく、立派でのびのびとしています。スーパーで並ぶ里芋しか見たことのない私はびっくり。
里芋は親芋、子芋や孫芋からなっているのですが、最初に芽をつける親芋は固く、大きいもので、市場ではあまり見かけないものです。説明を受けながら、里芋をスコップで掘り起こしてもらい、「親芋」の部分を傷つけないよう、鎌で切ります。サクッ、サクッとふきのとうを割くような感覚と似ていて、次第に楽しくなってきます。
「そうそう、上手いよ」と穏やかに丁寧にご指導してくださる皆様のおかげで、作業もはかどります。里芋を収穫している途中で、カエルやヘビにも遭遇しました。また、メンバーの方が、ドローンを飛ばしてくださいました。その撮影を観察したり、活動の様子を撮影してもらったりするなど、新鮮な気持ちで満たされる時間を過ごしました。
里芋を収穫したら、ひとつずつ里芋の大きさを判別し、その大きさで分けてカゴにコロコロと入れていきます。その後、バケツに水を張り、ハサミのような形をした板を用いて、洗濯する要領で左右に動かし、里芋を洗っていきます。伝統的な洗い方だそうです。
参加者の友人と一生懸命協力したのですが、汗がじんわりにじんだこと覚えています。ぱしゃぱしゃ、やわらかな水音と里芋がぶつかる感覚が心地よく、洗い終えた里芋はどこか誇らしげに見えました。
収穫した里芋は、煮ていただきました。口に運べば、ふわりと自然な甘みが広がり、とても美味しかったです。オニオンスープも作ってくださったため、冷えた体だけでなく、私の心も、そのお心遣いにぽかぽか温まりました。
インタビューで感じた、柴田保全会の魅力
一通りの活動を終え、柴田保全会の代表を務める毛利さんにお話をうかがいました。
メンテナンスの維持は大変ではありますが、作物を増やすなどの目的のためには、人手が必要となることから、外部との協力の大切さを実感しているそうです。その背景には、県内のNPOや県の協力体制がありました。
また、柴田保全会は包み込むようなコミュニティを築いていらっしゃると感じました。いくつか小屋を建て、仲間でお茶するようになったことで、高齢者では薄くなりがちな交友関係が深まった、と嬉しそうに話される毛利さん。
さらに、驚きのエピソードも。肥料として用いる、炒って潰した籾殻をお菓子代のために売ったところ、購入する人が現れただけではなく、生産をする際に排出される煙が獣害の防止になったそうです。無駄のない循環性のあるお話に、感動を覚えました。
加えて、近隣の神社会館でライブ練習をする若者のために、野外ステージも建設中だそうです。若者が柴田保全会の活動に参加しやすくなる、きっかけ作りになったら、と優しい毛利さんのまなざしが印象に残りました。
日々、東京での人混みや電車に疲れることの多い私。朗らかで、メンバーの方達が優しい雰囲気をまとう柴田保全会の温かさに、思わず緊張や疲れもほぐれ、すうっと心が和みます。
こうして、1日の活動は終了。感謝を心の中にパンパンに詰めて、東京に帰宅しました。
柴田保全会では、活動に参加したいという方を募集しています。若者から高齢者まで、どんな方でも優しく、楽しく参加可能です。
ぜひ、お気軽にご連絡してみてください。
この記事を執筆したのは
法政大学 小林梨瑚さん
柴田保全会の関連ページ
- 団体紹介:佐野市多田地区 柴田保全会です
- ブログ:【柴田保全会】若者レポーター活動報告
この記事に関する問合せは
栃木県農政部農村振興課 農村・中山間地域担当 里づくりチーム
TEL:028-623-2334
Mail:noson-sinko@pref.tochigi.lg.jp
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