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地域の活性化に取り組む 佐野市閑馬町の【閑援隊】

閑援隊の取り組み

はじめまして。私は宇都宮市在住の大学生です。

今回私は若者レポーターとして、佐野市にある閑馬町で、里芋の収穫体験をしたり、甘茶の試飲、山道散策など、様々な活動をさせていただきました。

今回訪れた佐野市閑馬町は、かつては稲作を中心に盛えていましたが、現在は過疎化・少子高齢化が進行し、耕作放棄地が増加したり、十分な対策が難しくなったことにより獣害による農作物への被害が増加しています。

そこで、地元の有志を中心に平成30年に立ち上げられた閑援隊は、「より暮らしやすい閑馬を目指した地域活性化」をモットーに、地域の子供が大人になったら帰省したくなる環境づくりに取り組んでいます。

閑援隊では、耕作放棄地を活用したお米や甘茶作り、放置竹林の活用、山羊の放牧など、様々な活動が行われています。

里芋掘り体験に、キノコ狩り、甘茶…

今回案内していただいたのは、串田農園様の畑。広々とした自然あふれる景色の中で、綺麗に植えられた里芋。その数なんと3000株!

最初に、串田農園様から里芋収穫の方法を説明していただきました。

地上に出ている部分を刈り取り、芋を傷つけないよう周りの土を少し退けてから、まんのう鍬で芋を掘り返し、少し上から落として土を取り、種芋となった「親」部分から可食部分の「子」を収穫していく。

収穫方法を説明していただき、いざ!

…どれが可食部分?

そう、里芋には種芋となった「親」と、可食部分である「子」があり、親部分から子を取っていくのですが、親部分もなかなか食べられそうな見た目。違いは、親部分には茎がついていて、子よりもなんとなく水っぽい。

最初はかなり惑わされましたが、少しずつ子を収穫していき、なんとか全員で1列目を全て収穫。

繊維を纏ったようなありのままの姿の里芋はとても新鮮で、とても楽しく作業できました。

里芋の親(左)と子(右)

里芋堀りの後、隣に植えられていたごぼうを収穫する様子を見せていただくことに。

私が想像していたのは、大根や人参を引っこ抜くような景色。ですが実際は、畑に人一人入れる大きな穴が空いており、その中にはスーパーでも見たことのないような巨大なごぼうが生えていました。

串田農園さんは、佐野閑馬でごぼう栽培をしている唯一の農家で、この大きなごぼうは近くの道の駅で販売しているそうです。

巨大なごぼう

衝撃的なごぼうを見た余韻のまま、地元の方の散歩コースを案内していただきました。

そのコースは山道で、急な斜面を上り下りすると、シイタケの原木栽培を行っているホダ木が置かれている場所がありました。

しかし、その間には原木に板を引いた、中々の味わいがある細い橋が渡されていて、渡る前から心臓がバクバクしていました。これは予期していませんでしたが、楽しかったです。

1人ずつ通った手作りの橋

そして、シイタケ狩りまでさせていただきました。

自然環境で育てられ、室内で発生させたシイタケ。七分開き位がちょうど良いと聞いたので、開き切っていないものを狙って収穫。

シイタケは自宅に持ち帰ってバター醤油に。

私は高校生の時、授業では「原木栽培されたシイタケは美味しい!」と習いましたが、それは本当だったので、シイタケが得意ではない人にはぜひ原木栽培のシイタケを食べていただきたいと思いました。

原木栽培されたシイタケ

串田農園では、シイタケの原木栽培以外にも、シイタケ収穫後のホダ木の利用など、様々な形で資源を活用しているそうです。
株式会社クシダ https://ku-shi-da.co.jp

お昼にいただいたのは、アジサイから作られた甘茶。

茶には詳しくないので、甘茶?多少甘いのか?と思っていましたが、実際に飲んでみると想像を絶する甘さでした。砂糖を入れているのかと思いきや、全く入れておらず砂糖を取れない人でも飲むことのできる、魔法のようなお茶でした。

このお茶に使用しているアジサイは、地域の使用されていない農地を利用し、栽培された物なのだそうです。

また、閑援隊では農業を諦めソーラーパネル予定地となった場所を交渉して引き取り、米作りをして閑援隊の資金の一部として利用しています。

このように、市からの助成金に頼り切りにならず、自分達で何かを成し遂げる、というまさに全国で問題になっている地域の課題に取り組んでいました。

閑馬甘茶 store https://kanmaamacha.stores.jp

閑援隊として活躍する皆さまへの質問

私はゼミで放置竹林問題について取り組んでいるので、閑援隊が行っている「放置竹林の竹を利用したメンマ作り」に興味があり、質問させていただきました。

  • Q. 地元メンマ実現に向けてメンマ作りを行なっていたそうですが、その活動に取り組むなかで、大変だったことはありますか?
  • A. 失敗ばかり!メンマにする工程が難しく、乾燥しすぎて切り干し大根のようになってしまったり…

やってみたいことは多くても、材料の準備や場所、そしてやり方は多岐に渡り、どんな方法がいいかは実際に行動して試行錯誤していくしかないと感じていたので、共感した部分が多くありました。

閑援隊では、耕作放棄地を利用したブルーベリー畑の整備も行われているそう。

  • Q. 地域にある無料のブルーベリー畑はなぜ?
  • A. 利益のためではなく、空き地活用のため!

ソーラーパネルを設置するよりも、地域が盛り上がると考え、ブルーベリー畑で実ったブルーベリーを自由に収穫してもらえるようにしているようです。私の住んでいる地域にも空き地はたくさんありますが、こんな取り組みがあったら本当に素敵だと思いました。

また、令和2年に閉校となった旧閑馬小学校について、過疎化しつつある地域に住む学生としてとても気になっていることがあり、質問してみました。

  • Q. どんなところに小学校の必要性を感じていますか?
  • A. 小学校があった頃は、もちろん運動会があった。生徒は80人程度で午前中に終わるけれど、年1回、この機会に地元を出た人も帰ってきて、地域のモチベーションにもつながる。今は、閑援隊が運動会など地域のイベントとなるものを、大きすぎず身近なことで行っている。閑援隊では、無理をせずに細く活動することで、一人一人が楽しく、長く続けていける。

私も高校生の時にボランティアに参加したことはありますが、一度参加して終わり、というのがほとんどで、その後の経過は気になってもなかなか参加できずにいました。

地域を盛り上げることだけが活動の意味ではなく、地域の存続にも深く関わっていく。そんな関わり方ができたら理想的ですが、私自身はこの考えを受けて、これからどうしていくか。考える良い機会になりました。

住民同士や閑援隊員同士、みんなで和気あいあいと活動し、豊かな自然とその恵みを活かす閑馬の姿に、「地域それぞれの良さ」とはこういうことを言うのだと感じました。

皆様も、この活動や閑馬の自然に興味がありましたら、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

閑援隊 関連サイト

この記事を執筆したのは

帝京大学 地域経済学科 平野 花さん

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この記事に関するお問合せ先

栃木県農政部農村振興課 農村・中山間地域担当 里づくりチーム
TEL:028-623-2334
Mail:noson-sinko@pref.tochigi.lg.jp